カメラマンの林さんが長いブランクの後 山登りを再開されたのが一昨年
秋の焼岳にご一緒してから私の山熱が再燃し 友人の勤務するヘアサロンのスタッフと山の会を結成してしまった
会の名は Culb H&F 友人のいるサロン ヒアカ・アヴェダとフェイバリットの頭文字をとっただけで深い意味は無い
その後 11月に結成会を中目黒「辰春」で開催 なんと十三名もの参加があり大盛況であった
12月に入り林さんと「足慣らしを兼ねて高尾山に登ろう」との話が持ち上がり 年明け早々登ることにした
2012年1月
高尾山登山の前日 東京は大雪の天気予報 仕事中 林さんから再三メールが来るが中止の連絡ではなく
「雪の場合は決行する 雪用の装備をするように」とのアドバイスであった 一応 軽アイゼンを持って行くことにする
今回は 買ったばかりのダナーの軽登山靴を使用するので積雪時の具合も経験出来るのは一石二鳥なのである
<新年そろい踏み>
当日 雪はやんだものの街は雪景色である 夜も明けきらぬ日吉の路地はツルツルに凍っている 山へ向かう街の中で
転んで怪我でもしたら洒落にならない 慎重に歩いて駅に向かう
ダイヤの乱れを心配して早めに家を出たのだが さした遅れも無く JR高尾駅に約束の時間より三十分程早く着いてしまう
しかし 駅構内は登り方面の列車は運休との アナウンスが再三流れ 大混雑 間一髪であった
構内脇のパン屋で朝食をとることにする 皆予定通り到着できるのか心配だ そういえば今回のメンバーは
林さんと佳代さんを除いて初対面の人達だ 初めて会う人と山に登るのは経験した事がないなぁと ぼんやりと考える
その間もアナウンスは ひっきりなしに列車運休バスの振り替え輸送を伝えている そろそろ改札前で待つことにする
すぐに林さん佳代さんを発見 林さんから初対面の山平さん森田夫妻を紹介され今日のコースの相談となる
当初 高尾駅からバスで陣馬山下まで行き そこから陣馬山頂~景信山~高尾山 と歩く計画だったが
リーダーの林さんが「積雪で歩く時間が予想以上にかかりそうなので 高尾山単独で行きましょう 」と提案
京王線に乗り換え 京王高尾山口へと向かう
<天気も上々 快適な雪道>
<HFLP????>
積雪は 踏まれていない所で膝まであり都心から一時間の山とは思えない 快調に歩を進め・・・といいたいのだが
今回のメンバーは私を除いて全員がカメラマンである あちらこちらでカメラを構え撮影するので なかなか進まない
ちなみに今回の写真は全て 森田兼次氏に提供していただいた
気持ちの良い 雪の登山道は物音を吸収して 静かなことこのうえない
行き交う登山者の姿も無く何とも良い気分 これだから冬山はやめられない もっとも天気が今日のようであればだが・・・
直接山頂に向かわず 景信山方面に迂回して林さん推薦の眺めの良い一丁平へ向かう ここで昼食
雪の八王子の市外 彼方には新宿副都心のビル群 東京タワーとスカイツリー 全てが静寂のなか無彩色の世界に
存在している 海苔なしの明太子と梅干の白いおにぎり 今朝 海苔が無い事に気付き愕然とするも それもまた良し
豚汁をコンロで温める 旨し!
集合写真を撮った後 山頂へ 雪に埋もれた三角点を掘り出しタッチ 茶店前のあづま屋でしばし談笑 ムズムズ楽しい
下山は清滝コースをとる 沢詰めのルートは原生林に降り積もった雪が 天然のオブジェを創っている
<幻想の世界>
夕刻 無事下山 打ち上げは駅前の蕎麦屋 いやはや冬の高尾山!!なかなかたいしたものだった
2月
高尾山が思いのほか楽しかったこともあり 山の高さにこだわらず ひと月半に一度は山に行こうと決め た
二月の定休日 Club H&FのFavoriteメンバー アシスタントの聖子さんを誘って鎌倉の天園ハイキングコースを歩いてきた
聖子さんは中学高校時代陸上部に所属していて 高校では7種競技でインターハイ出場経験を持つアスリートである
天園は別名 鎌倉アルプスと呼ばれ 北鎌倉建長寺から鶴岡八幡宮の裏を抜けて瑞泉寺までの鎌倉ガイドには
必ず掲載されているメジャーコースである 特に木立が葉を落とした真冬は 眺望も良く晴れた日には
相模湾・富士山と素晴らしい景色が見ることができる 当日は快晴 まさにハイキング日和
朝もゆっくりなのでしっかり弁当を作る
<定番 ハイキングセット>
建長寺境内の長い石段を登りきると小さな展望台があり このコース上でもっともきつい登りは終了 しばらく薄暗い径を行く
<山に登ると富士山を探してしまうのは何故だろう?>
<晴れていても 三浦岬も見えないし ソーダ水の中を貨物船も通らない>
相模湾を望む広場で昼食をとり しばし昼寝 これだから低山歩きはやめられない
のんびり歩いて三時間弱 途中鎌倉名物のリスとも遭遇し夕刻下山 その後八幡様で初詣を済ませ ぶらぶら鎌倉駅へ向かう
鎌倉と云えばなんといっても小町通りの「納言」 いつからか訳のわからないみやげ物屋通りと化した小町通りにあって
昔ながら毅然と構えているこの店は 入った途端ほっとする お決まりの田舎しるこを食べ大満足であった
<冬の夕暮れ>
3月
以前にも書いたが 十数年ぶりのメンバーで茅が岳に登ってきた
増田 武川 私の いつものメンバーに 林さん 最後にこのメンバーでの山は夏の五竜岳・白馬岳・唐松岳の
後立山縦走だった
その後 林さんが山から離れてずっと基本的に この三人で登っていたが今回ついに再結成となった
林さんのアシスタントの佳代さん(後に林さんのパートナーなられた)も加わり気分は大いに盛り上がる
日本百名山を著した深田久弥氏が急逝された山としても知られる茅が岳は 東京から日帰り出来て
眺望の良い我々のお気に入りの山の一つだ
林さん組と中央高速 双葉SAで合流して深田記念公園駐車場で身支度と腹ごしらえを終え いよいよ登り始める
懐かしいパーティーの復活!
木立の中 ややきつい登りが続く ここからペースを作らないとあとが辛い とはいえ三時間程の登りなので気は楽だ
高尾山から履き始めたダナーの靴がとても調子よく よほど険しい岩場や荷物の重い縦走以外は これで十分と思える
数回の休憩で山頂に到着 360度の眺望が素晴らしい 南北アルプスはもとより遥か中央アルプスまでが見渡せる
早速記念撮影 プロのカメラマンに撮っていただけるのはなんとも嬉しい
足元は解けた雪でぬかるんでいるため 少し下った草付き場にザックを置き 改めて林さんの登山復活に乾杯
各々昼食をとり 私とパートナーは いつもどおり昼寝 風はかなり冷たいがダウンパーカーを頭から被っていると
日差しに暖められ結構眠れる しばらくすると日が陰り寒気で目覚める
<集合写真>
往路を戻り 駐車場で林さん達と別れ 我々は入浴のため増富鉱泉を目指す
随分昔 仲間達と瑞牆山に登った帰りに立ち寄った所で 確か増富ラジウム鉱泉と呼んでいた 当時は狭く薄暗い部屋に
湯船が一つだけという 入るのに躊躇してしまうような怪しい雰囲気であったと記憶しているが定かではない
今回訪れてみると ロビーは大型テレビと趣味の悪いソファーのセットにベンダーが並び 地元名産と称した
さして特徴のない土産物のならんだコーナーと食堂といった どこの地方都市にも必ずある健康ランドに変わっていた
期待せず入った風呂場は案の定 循環 塩素消毒の大浴場であった 早々にシャワーで汗を流し 帰る
4月
私がお世話になっている中目黒のヒアカ・アヴェダのスタッフと山の会を結成したのが一昨年の11月
ようやく第一回の登山が実現した 目的地は高尾山 やはり初心者でも安全に楽しめて 万一歩けなくなった者が出ても
ケーブルカーやリフトを利用出来ると云うのが選んだ理由だ
各自 京王高尾山口駅に集合して稲荷山コース入り口で登山のレクチャー
登りでは 歩幅は小さく 膝を上に引き上げるつもりで 着地は靴底を地面に対してフラットに置く 呼吸は深く吐いて深く吸う
特に息を吐く時は意識して行う 出来れば歩調と合わせられるのが理想 うるさい説明でも皆真剣に聞いてくれる
<かわいい かわいい子供達>
ゆっくりしたペースで広い登山道を行く みな楽しそうに歩いている 桜にはまだまだ早いが若い緑が柔らかい
♪土と緑と動くものと 水と光と そして私 今初めて彼らを知り 今初めて私を知る 今この時私は私を 人と名付けるのだ♪
高校生の時に聞いていた岡林信康の歌が頭の中で繰り返される 勉強はもちろん生きていく事にさえリアリティーが持てず
全てのものに敵意を抱いて 学校をさぼり昼夜問わずのバイト生活 ロック喫茶で煙草の煙と大音量の音楽にまみれて
朝まで過ごす日々を繰り返していたあの頃・・・
鳥のさえずりに我に返る みんなの笑い声が聞こえる 木漏れ日が地面に模様を描いている 山の匂いがする 美しい時間
思い切り息深呼吸した
<木漏れ日>
山頂手前 一丁平方面の見晴らし台で昼食 元ヒアカの菜々ちゃんの卵焼きにウインナー 私の定番 おにぎり
鶏のから揚げ 卵焼き 我が家の畑で採れたブロッコリーに豚汁 残さず食べて頂けて嬉しい限り その後 山頂で
しばし眺望を楽しんで下山 みんな ありがとう
5月
<里の春>
毎年恒例のゴールデンウィークは登山と山菜採り 今年は長く休めないのでどうしようかと思っていたら
増田氏が「山は焼岳を日帰り 山菜採りのあと野外で料理して食べ温泉に泊まるは どうですか?」という
素晴らしい計画を提案してきた 採れたての山菜をその場で天ぷらにして死ぬほど食べるというのが
パートナーと私の長年の夢だったので 「さすがプランナー増田だ!いいぞ!それだ!それに決まりだ!」と大興奮
すかさず いつもの宿と蕎麦屋の予約 タクシーと列車の手配をする
おおよその計画は次のようになった
1日目 朝一番の あずさ号で松本入り 我々の山菜採りの師匠でもあるタクシードライバーの倉田さんと 山菜採取後
野外料理の出来そうな場所で山菜ランチ 夕方 白骨温泉にチェックイン
2日目 タクシーで 中の湯駐車場下車 焼岳~上高地のルートを登山 下山後 宿に戻る
3日目 チェックアウト後 倉田さんの案内で山菜採り 午後 松本 三城にて蕎麦 帰京
なんとも夢のような三大快楽祭り 一に山菜 二にお蕎麦 三四がなくて五に登山 全てを満たす悦楽プランになった
<行者にんにく>
<たらの芽>
駅前広場で半年振りに会う倉田さんは すでに山菜採りスタイルであった あいにくの霧雨 早速 倉田さんの秘密の花園へと
向かう 車中「今年は 雪が多いなんだで 山菜も十日から二週間ばっかし遅いかも わからんだなぁ」と倉田さん
予想はしていたが名人から直接聞くとかなり落ち込む 「もう山菜の天ぷらで腹いっぱいにする などと不遜な事は申しません
なんとか今日の昼飯分だけで結構です どうぞよろしくお願いしますです」と謙虚に山菜の神様にお願いするのだった
しかし心配は危惧に終わり 倉田名人の鋭い感覚によって 行者にんにく こごみ ホップの芽 まだやや小ぶりだが
味では断トツのこしあぶら まで手に入れることが出来た その後何度か場所を変え 最後に行った我々が毎年採取する所には
たらの芽が大きく大きく美味しそうに輝いているのだった とりあえず今日の昼食の分だけ採り
待望の「とれたて山菜天ぷらの会」会場となる場所へと車を走らせる
<こごみ こしあぶら たらの芽 てんぷら御三家>
<行者にんにくは炒めて 野蒜はそのまま味噌をつけていただく)
<ふきのとう 自家栽培の椎茸>
<倉田名人が用意してくださった手打ち蕎麦 感涙>
着いた先は山奥にある公園 何故 自然の真っ只中に わざわざ整地して芝を張り 植林をし 巨大な石を配置したりと
意味の無いデザインをするのだろう とはなはだ疑問の残る場所であった が腹ペコの我々の目下の関心は
一刻も早く天ぷらを食べる事 カートリッジ式コンロ 天ぷら油 てんぷら鍋 蕎麦を茹でる鍋 水切りざる 水 天ぷら粉等々
ありとあらゆる調理に必要なものを用意してくださった倉田さんに最敬礼!我々は山菜の掃除をしただけで
いよいよ夢の饗宴に突入した 名人倉田から変身したシェフ倉田の 絶妙な野外天ぷらの数々を ただひたすら食す我々
たらの芽の どこまでもホクホクな食感 こしあぶらのほろ苦さと鼻孔へ抜ける鮮烈な香り この時期の山菜すべてが持つ
絶妙な苦味と芳香 これぞ春の命を頂くという事かと一同感動 茹でたての蕎麦を思い切り手繰りながら 天ぷら 野蒜 蕎麦
天ぷら 蕎麦 葉わさび と果てしなく続く至福の時我がパートナーの「たらの芽の天ぷらだけでお腹一杯にする」という
長年の夢が実現し もう思い残す事は何もない
<師匠 倉田名人に 感謝!!>
<笑いが止まらない・・・>
朝から降ったり止んだりの空模様だったが 幸い食事中は雨も上がってくれていた 思う存分食べ尽くした頃
怪しい雲が迫って来たので 急遽撤収 今日から泊まる白骨温泉の湯川荘へ向かう
宴のあとの温泉 これ以上の贅沢があるのでしょうか?ないない!
<五月の冷気の中で 入る露天風呂は格別>
<プランナー増田の装備 端整なパッキング>
翌朝 宿の朝食を弁当にしていただき出発する 中の湯の前を過ぎ 林道の途中にある焼岳登山口にて下車
倉田さんと上高地タクシー乗り場で落ち合う確認をし 今にも雨が降り出しそうな中を出発する
雪は例年より多い気がする 周囲はガスがかかっていて薄暗く寒い 一時間程歩いて樹林の中で朝食をとる
早朝からの山登りの際は湯川荘で朝食用に弁当を作って頂くのだが いつも美味しくて奥様とご主人の心遣いが本当に嬉しい
<ガスは なかなか晴れないが 山頂は近い>
アイゼンを使用する箇所も無く いつものペースで登る
いつも上がっている噴煙の勢いが今年はやけに強く ゴーゴーと恐ろしげな音まで聞こえ 硫黄の匂いが強くなる
横殴りの強い風と雪が絶え間なく吹きつける中 山頂に着く とりあえずザックをおろし小休止するが風雪は収まらない
グングン身体が冷えてくる 昨日の山里は早春の趣だったのに山は真冬だ 早々に下りようということになり下山ルートを
確認する 心配していたとおり上高地へ下るルートは積雪が多すぎるうえ クラストしていて誰も通過していない様子
やはり登山口での看板に「上高地側へは通行不可」と書かれていたものなぁと 納得
安全を期して往路を引き返すことにし 倉田さんに計画変更を伝え 中の湯で待機して貰う事にした
山頂をあとにしばらく下ると風雪は嘘のように収まった その間二時間程 あとで知るのだが この日
北アルプスでは遭難が相次いだようだった 中の湯にて乗車 冷え切った体を温めてくれる温泉の待つ 湯川荘へ向かう
3日目 嘘のような快晴 絶好の山菜日和 神様ありがとう 本日は昼過ぎまで持ち帰り分を採集する予定
朝食後 宿自慢の美味しいコーヒーを飲んでいるところへ 倉田さんの迎えが来る 宿のご主人奥様と再会を約束して出発する
<暖かい日差しが降りそそぐ つり橋の宿 湯川荘>
今朝の倉田さんは 一昨日以上の獲物を我々に採らせようと考えてくれているらしく遠出の気配
我々は三人が食べられる量があれば十分なので それとなく名人に伝えるが聞く耳もたず 余った時の保存法
保存食の調理法まで伝授してくれる おかげで帰ってから いろいろな方にお裾分けして喜ばれ 毎日のように
山菜料理を堪能することが出来た
<これぞ 野生のたらの芽!特大サイズ>
松本駅へ戻る途中 畑の中の一軒屋の豆腐屋に立ち寄り 倉田さん推薦の味付け油揚げ と豆腐を土産に購入する
外のテーブルで油揚げ(厚揚げと油揚げの中間の厚さの揚げに 多分醤油と砂糖で作ったたれを染ませた
あとを引く美味しさ)と冷奴を頂いた 澄み切った大気 蒼い空 田圃を渡る芳しい風 なんと良い気分だろう
春の山郷 もうすぐ郭公も鳴くだろう満ち足りた気分で帰路についた
<のどかなり・・・・>
6月
休みの朝 習い事に出かけようとするとパートナーが 「今日は午後からのアポが無くなったので 何処かへ行かない?」と
声をかけてきた すぐに閃いたのが高尾山 過去2回の経験で日吉の自宅から片道一時間 登り下り合わせて二時間
山頂でゆっくりしても夕方には戻って来られる 「崎陽軒のシウマイ弁当を高尾山で食べよう」 と云う事に決まる
パートナーは子供の時以来の高尾山 霧雨のなかを稲荷山コースを行く とにかく蒸し暑い 予想はしていたが
梅雨の低山は湿気と暑さとの闘いだ 途中の見晴らし台からも眺望はなし 灰色の空と雨に煙る街 季節は反対だが
はっぴーえんどの名曲「12月の雨の日」の詞を思い出していた
1時間程で山頂に到着 売店前のあずま屋で待望のシウマイ弁当を広げる シュウマイ弁当の間違いではない
シウマイ弁当である 突然ですが ワタクシ的好物駅弁当挙げると 一位は山形県米沢の松川弁当店の「すき焼き弁当」800円
二位は この崎陽軒「シウマイ弁当」780円 三位はその時々変わるのだが この二つは不動の地位を保って現在に到っている
暫くするとパートナーが「此処にいる人達の中で日本人は私達だけみたいよ・・」と小声で言った そう言われて見回すと
四 五人程のグループが幾つかベンチに腰掛けている 殆どの男女が携帯電話を操作しながら談笑しているが確かに
日本語ではない その数二十人程だろうか そうか・・西暦3000年代には地球上に日本人は一人しか存在しなくなってしまう
という話をパートナーから聞いていたし これはその事への始まりなのかもしれないねと 弁当を食べながら2人で納得
下りは表参道コースをとる 薬王院に到る参道で高尾山ではメインルートである 雨も上がり途中見事な大輪の紫陽花を
眺めながらの下山は楽しいものであった
7月
そろそろ低山歩きには厳しい暑さになってきたので 標高の高い山に聖子さんのトレーニングを兼ねて出かけようと
日向山へ林さん夫妻と行ってきた 林さんは六月 共に仕事をなさってきた佳代さんと結婚式を挙げられたばかり
私とパートナーも出席したのだが何とも心温まる良い式であった
早朝新宿スバルビル前で 林さんにピックアップしていただき中央道を行く 韮崎から国道20号を走り 矢立石駐車場から入山
良い天気で嬉しい リズムの取りやすい登りを快調に行く 時折 鳳凰三山が木の間越しに見える 頂上間近で林さんから
トップを譲られる 突然現れる山頂の白い砂礫 不思議な形に風化した奇岩の数々 同じ花崗岩から成るからだろう
北アルプスの燕岳に似ている 正面から 鳳凰三山 雨乞岳 八ヶ岳 振り返れば甲斐駒ケ岳の雄姿が目の前に聖子さんは
生まれて初めて見る景色に大感動 歓声を上げながら撮影していた 昼食は おにぎりと豚汁の相変わらずのメニューだが
今回は冷たいデザート付き 前夜から凍らせておいた白桃と黄桃の寒天寄せがちょうど良く融けていて 旨い
夏の山にはツルルンと食べられ甘酸っぱいフルーツが最高である
食後 これからの山行計画を話している中で 私と林さんとの初めての登山の思い出話になり
その時の常念岳から燕岳のルートをやろうとなる 槍ヶ岳・穂高連峰をずっと見ながら歩けて居心地の良い山小屋に泊まり
運が良ければ夕焼け朝焼けも体験できる 聖子さんにとって最高の北アルプスデビューになる事だろう 早速帰り次第
日程を調整することにした それにしても やはり暑い 標高1,660mでも日が高くなるとかなり蒸してくる空気中の水蒸気が
素肌にまとわりつく これからは2,000mを越えないと辛いなぁと ぼやきながら 下山した
<山頂からの八ヶ岳>
<緑したたる 夏の山々>
8月
毎年夏休みは長い縦走を計画している 今年は私が「中央アルプスを北に縦走しようではないか」と提案した
駒ケ岳ロープウェイでホテル千畳敷まで行き 宝剣岳 槍尾岳 熊沢岳 空木岳 南駒ケ岳 越百岳 奥念丈岳を
越える三泊四日のルートである 特に空木岳(うつぎだけ)越百岳(こすもだけ)なんと美しく壮大な名前だろう
空に宇宙である 名前にもやられてしまったが 写真をみればもっと心惹かれる縦走路である
最近の いやーな風潮と苦々しく思っているのだが 山ガールブームとやらでメジャーな山域 富士山や白馬岳 槍ヶ岳などは
人で溢れてしまっているようだ 山に来た時くらい静かに過ごしたいと思う我々には 人の少ないマイナーな山域である
このルートは かなり期待出来るのではないだろうか メンバーの増田氏に送ったスケジュール及び連絡のメールは
以下のとおり
中央アルプス北部縦走につきまして
駒ヶ根ロープウェイ時刻 始発8:00~最終5:00 (20分間隔) 所要時間 7分
ロープウェイ会社に問い合わせたところ 8月11日前後は 朝から昼間まで待ち時間が2時間から2時間30分
夕方は空いている との事
交通
新宿→→八王子→→松本 ロープウェイしらび平駅⇛⇛⇛⇛千畳敷駅
10:00発 10:33発 12:31着 14:40発 14:47着 しらび平駅間は マイカー禁止 バスorタクシー
倉田さん確認(松本から1万円チョットで行ってくれるそうです)
宿泊ホテル千畳敷予約 0265-83-52018 8/11 1泊3名1室 夕食 朝食 バス トイレ付¥19,950-
夕食18:00 朝食は弁当に変更可(夕食時に受け取り) 陶山冬樹で予約済(4/5 北原さん受け)
スケジュール
11日到着後 三城にて昼食 14:00三城前より倉田さんタクシーで駒ケ岳ロープウェイ駅(しらび平)15:30~16:00
ロープウェイ乗車(7分)ホテル千畳敷 チェックイン
12日 ホテル発 極楽平経由空木岳(6時間30分)駒峰ヒュッテ泊(幕営)
13日 越百岳経由越百小屋 (5時間)越百小屋前(幕営)
14日下山 登山口(4時間)タクシー中仙道 木曾福島方面 権兵衛峠経由中央高速伊那I~松川I~大鹿村(右馬充)
料金 南木曾タクシー ¥38,000- メーター走行 ¥38,000-越える場合はメーターストップ 以内はメーター金額
高額なので検討余地あり(下山地 ルート等変更か?) 以上
<松本 三城の蕎麦>
当日 予定どおり松本に到着 すぐに三城に向かう 再三紹介しているが私達の好きな蕎麦屋である
ゆっくり女将と話しながら酒肴 蕎麦 食後の甘味のいつものコース 旨い!
いつも凛とした雰囲気を漂わせている女将と店内 麹町の時から何も変わらない
今日は移動のみ タクシー ロープウェイと乗り継いで標高2,000mのホテルにチェックインという お気楽行程
<乗客は我々3人>
昼間は二時間待ちだったという ロ-プウェイに乗り込み千畳敷到着 ロープウェイ駅と直結のホテル千畳敷にチェックインする
しかし このホテルについては全く何も書く気になれない
夜 天気図とテレビの天気予報をみて今後のスケジュールを検討する どうやら台風並みの低気圧が近づいていて
明後日から荒れるようである いろいろな状況を想定して話合う 結果 初めてのルートであること エスケープルートも無いこと
下山前日が悪天候のピークで停滞を余儀なくされると後半のお楽しみの大鹿村に行け無くなると判断し
明日木曾駒 宝剣を廻ってロープウェイで下山することにした
<夏空 夏山>
翌日 快晴 これから天気が崩れるなどと思えない登山日和 沢山の登山者に交じり木曽駒岳を目指す
木曾駒ヶ岳 宝剣岳は初心者コースなので山ガール 山ボーイ 山じじ 山んば大発生だ
乗越浄土から中岳 駒ケ岳へと向かう テントなど重い装備はホテルに置いてきているので「走って登れそうだ」と
くだらない事を言う余裕もある 気持ちの良い登りが続く 足元にコマクサの群落を見ながら しばらくで中岳山頂
振り返れば この後行く宝剣岳が雲海の中に浮かぶ ここから木曾駒に向かう ゆるい下りをしばらく行くと木曾駒のコルだ
広い山頂小屋のテント場が見える 今日のような正しい夏空のもとで ゆっくり過ごしてみたい気にさせる広々として
気持ちの良い所だほどなく木曽駒ヶ岳山頂 群青の空 壮大なる眺め 冷たい風が心地よく これぞ夏山
コルまで戻り宝剣岳を目指す 険しい岩場に見えたが随所にロープや鎖が設置されていて拍子抜け
大勢の登山者が来る山だからとはいえ やりすぎではなかろうか?それでも慎重に登り 汗をかきながら本日最後のピーク
宝剣岳に着く
<縦走路>
眼下にはこれから向かう予定であった空木岳への長く美しい稜線が見える 眺望を楽しみながらゆっくり過ごす
「本当に天気が崩れるのかねぇ・・?」 話すうちに下の方から みるみる雲が湧いてきて山の姿を隠してしまう
下山にかかる 急峻な岩場が続くのが楽しい 夏休み最後の山かと思うと名残惜しい かといって いつまでも
岩にへばりついてもいられない
<鎖に縛られ・・・>
<この辺りの コマクサは全体に色が濃い>
<みるみる ガスが上がってきた>
昼過ぎ下山 着替えを済ませ 下りのロープウェイでしらび平駅へ 昨夜予約しておいたタクシーに乗車
東京へ帰る増田氏と駒ケ根駅で別れ 私たちは次の目的地である大鹿村へ向かった
予約した日より二日も早く着いてしまった私たちを快く受け入れてくださった 大鹿村の旅舎 右馬允(うまのじょう)
まさに夢のような至福の四日間を過ごす事になるのだが ここでは書かない
<旅舎 右馬允>
9月
林夫妻と日向山で弁当を食べながら計画した燕岳から常念岳を縦走してきた
今回はFavoriteの聖子さんの北アルプスデビューと云う事もあり 余裕を持って登る事にした
登山前日に松本に宿泊して翌朝中房温泉から登り 燕岳登頂後 燕山荘で一日早く入山して常念小屋から来る
林さんパーティーを迎える予定だ
<はじめの一歩>
中房温泉のベンチで朝食をすませ合戦尾根に入る ここは日本三大急登の一つである
ちなみに日本三大ナントカとは 三大雪渓 三大キレット 三大紅葉など山の世界でもいろいろある
その名にふさわしく最初からきつい登りがずっと続く まずはゆっくり歩き出す 燕山荘までおおよそ四時間
一時間歩いて五分から十分の休憩が私のペース 今回は縦走初心者が一緒なため休憩は十分とした
途中三十分毎にある休憩ベンチは無視して樹林の中を歩く 9月末でもまだ暑いが さすが元アスリートの聖子さん
しっかりついてくる
<お猿の母子>
赤ん坊か女性の悲鳴のような声を何度も聞く しばらく周囲を見回してみると なんとお猿が子供を抱いている
声の正体は彼らであった 聖子さん興奮して何枚も写真を撮って大喜び 「初アルプス登山で猿に会えるのは幸運だから
ありがたく思うように」と伝える 二時間半程で合戦小屋到着 名物の西瓜を食べる 沢の水で冷やされた
下原(しもっぱら)すいかは松本の波田町のブランド西瓜で大変うまい 急速に疲れが回復するように思えるのは気のせいか?
恐るべし合戦西瓜
<もう一つの名物 スイカ娘>
ガイドブックのコースタイムより やや早いペースで登っていることを確認する 合戦尾根の頭で森林限界を超え
ようやく周囲の景色が見えてくる 燕岳 大天井(おてんしょう)岳などの山々を見て 歓声をあげる聖子さん
盛夏はお花畑だった名残のある斜面を登り 昼過ぎ燕山荘 到着 山荘前に広がる絶景にしばし見とれる
小休止後 燕岳を目指す 花崗岩の奇岩群を見ながら白い砂礫の道を行く 日向山で感動していた聖子さんは
比べ物にならないスケールに 「やばいです やばいです」を連発 彼女を先頭に2,763mの燕岳山頂 に到着
聖子さん生まれて初めての北アルプスのピークである 槍・穂高連邦 乗鞍 剣・立山までもが見渡せる
この景色を見て欲しかった 頑張って登った者にしか与えられないご褒美だ Good job!!
<山頂へ>
燕山荘で宿泊の受付をする 今回は四人なので大奮発して個室を予約しておいた 山を始めてしばらくは山小屋に
泊まっていたのだが宿泊客のマナーの悪さや混雑にうんざりして それ以後よほどの悪天候かアクシデントがない限り
小屋は使わずにテント山行を続けている 今回は新人歓迎登山なので小屋泊まりとしたのだが いやはや
この燕山荘の設備や雰囲気 スタッフの対応の良さには驚かされた 泊まりたい山小屋ベストワン と云うのもうなずける
さっぱりと着替えて 林さん達が着くまで豪華な山小屋ライフを聖子さんに味わって貰おうと思い
展望ラウンジ!?でお茶とケーキをご馳走することにした そこへ常念小屋からの林パーティーが汗みずくで到着
先にラウンジ!?に入って待つことにする 街なかのカフェのような驚きのメニューを眺めて待つ 席は一杯
皆嬉しそうな表情をしている 着替え終えた林夫妻と改めて挨拶 まずはビールで乾杯 昨日 一の沢から入山し
常念岳の山頂を踏み常念小屋に泊まって今日1日かけて到着した林さんは しきりに「いやぁ きつい きつい」と言うが
顔は本当に嬉しそう 佳代さんも嬉しそう
ケーキセットを食べ終えて部屋に戻り夕食まで談笑 聖子さんはシュラフにくるまり熟睡 夕食はティールームの隣の食堂で頂く
素晴らしいメニュー 山小屋三大豪華めし の部門では一位に輝くのではないだろうか?旨し!飯のおかわり三杯目は我慢する
食後は星を見に外に出る 満天の星空・・・言葉に出来ない美しさ 薄く雲を掃いたような天の川 こと座 わし座 白鳥座を
結んで描ける夏の大三角形 ひしゃくの形で有名な北斗七星 赤い目玉のさそり座 あまりにも沢山輝き過ぎて星座を
見分けられない 体が冷えてきたので部屋に戻り林さんの淹れて下さった暖かい飲み物で暖まり ふかふかの羽毛布団に
くるまり寝る
<朝焼け>
聖子さんに 朝焼けと雲海を見せたくて早朝起床 気温五度 美しく壮大な自然のドラマが始まった
<荘厳なり>
<波打つ 雲海>
<ご来光>
約一時間 太陽が登りきると あっという間に明るいただの朝がやってきた 部屋に戻りパッキングを終えて朝食を摂る
今日のルートは昨日の林パーティーの逆コース 大天井岳 横通岳 常念乗腰から一の沢を下山 約八時間以上の
ロングコースである その後タクシーで町営温泉施設「しゃくなげ荘 」に向かい 北燕岳 燕岳を登って下りてきた
林さんパーティーと合流する予定 午前7時 林さん佳代さんと別れ 出発する まずは大天井岳を目指す
美しい朝焼けを見る事は出来たが天気は下り坂の様子 谷からずんずんガスが湧いてくる 晴天ならば目の前に
見えるはずの槍ヶ岳は頭の部分にべったり雲が張り付いている 残念だ
<霧雨の合間に雲が切れ日が射した 大きな大きな虹がでた>
切通岩に着く頃から雨が降り出す 予想して小屋を出る時から雨具は着ていたのでザックカバーを装着する
槍ヶ岳との分岐からいっきに雨足が強まってきた 大天井岳への急登にさしかかる頃は豪雨になり
みるみる足元が沢のようになる 雨初体験の聖子に「とにかく あせらないで一歩一歩確実に歩くように」と指示をして
小屋を目指す グショグショに濡れた手袋の中の指が凍える ようやく稜線に出る 強い風にフードが煽られる ここから
大天井山頂まで往復十五分弱なので一気に進む ほどなく山頂に着く 聖子さん二つ目のピーク
今回のコースの最高到達点である 雨具をたたく激しい雨の音しか聞こえない 真っ白なガスの中 何も見えない山頂であった
<視界ゼロ ずぶぬれ でも笑っている あんたはエライ!>
大天荘に到着 扉を開けると小さな小屋は雨宿りの登山者で満員 小屋の軒先で立ったまま雨をしのぐ
ここまで二人とも何も食べていない テルモスのお湯を飲み行動食を摂る 遠くで雷がなっている
こちらに近づかないでくれ と祈るばかり さして雨足は変わらないが出発 しばらく平坦なルートなので気持ちは楽だ
それにしても聖子さんのタフさには驚かされる 初心者と山に行くと「あとどの位ですか?」「休憩はまだですか?」
「疲れた足が痛い」「腹が減った」だのだの云うものである 私がそうだった 今も云うか・・・彼女は黙々と後をついてくる
かなり苦しいはずだが全く弱音を吐かない 引率する者として非常にありがたい 稀有な新人である 出来れば晴天の
このルートを歩かせてあげたかった 晴れていればスキップしながらでも歩ける平坦な尾根を行く 右手には雄大な槍ヶ岳から
穂高連邦までがすぐそこに見えるはずだが・・ 見えない! 雨が次第に小降りになってきた 尾根は薄いガスが漂っている
もしかすると・・・
と期待しながら周囲に目を凝らす・・・いたいた・・・白い靄のなか 石と土のまだら模様と見間違えそうな身体が動いている
雷鳥だ 母鳥と子供が いち に さん・・・なんと五羽 聖子さんも大慌てでカメラを出す 雷鳥親子は私達をまったく気にせず
辺りを歩いては高山植物をついばんでいる 驚かさないよう静かに後を追う
<保護色>
ありがたい事に横通岳に着く頃 雨は上がり雲の隙間から青空が見える
雨具のフードを下ろし雨に打たれる音から解放されると ほっとする 横通岳を越えると常念乗腰に建つ
常念小屋の赤い屋根が見えた 「あと少し」と聖子さんに声をかける ようやく落ち着いて休憩が出来る
<ハラヘッタ ハラヘッタ>
小屋に入りザックを下ろし 上着を脱いでようやく一息つく ここまで約五時間 時間があれば常念岳を往復したいところだが
林さんとの待ち合わせがあるので今回はあきらめる 常念ラーメンを注文する 普通の醤油ラーメンに缶詰のコーンが
乗っているだけなのだが温かい汁ものはありがたい 朝食以来 ちゃんとした食事ができて聖子さんは笑顔になっている
あとは一の沢を下るだけだ
<最後まで槍ヶ岳の山頂はガスの中だった>
約三時間で下山 予約しておいたタクシーで しゃくなげ荘へ向かう
燕岳から下山して待っていてくださった林夫妻としゃくなげ荘で合流 待ちに待った風呂 大きな湯船に浸かり
大きな開放感に浸るさっぱりと新しい服に着替え 東京へ向かう 今回は聖子さんの頑張りに拍手!
10月
山仲間の増田氏から山行計画がメールされてきた どうやら暇らしく?上高地から涸沢 北穂高岳 奥穂高岳
前穂高岳を登り岳沢を経て上高地に下山 四泊五日のテント山行らしい なんとも羨ましい贅沢な計画だ
忙しい私?は当然五日も休めないので救対を引き受ける
救対とは救援対策の略で 事前に登山計画書を預かり 下山予定日になっても下山せず当人からも連絡が無い場合
救対の者が家族や管轄の警察に連絡をし 様々な状況を考慮して遭難の可能性有りと判断した場合 捜索を要請する
山の経験者であれば捜索隊にも参加しなければならない と云うものと理解している なかなか大変な役目である・・・
遭難しちゃダメよ増田君
それにしても穂高かぁ・・・今年は行っていないなぁ・・・・この頃は紅葉真っ盛りだろうなぁ・・・などとなぁなぁ思っていると
数日後フェイスブックに 以前Favoriteで働いていて松本へ帰った 香ちゃんから涸沢の紅葉の写真が送られてきた
コメントに「この世のものとは思えない美しさです」とある そうかぁ そうだよなぁ この世ではないのだよなぁ
すごい世なのだなぁ やっぱり見に行かねば後悔するなぁ またしても なぁなぁなぁと思い巡らせた結果
月曜日一日だけ休もうと決めた 計画当初は涸沢で一泊し 紅葉を満喫できればいいな と思っていたのだが
ふとある事が頭に浮かび実現可能なプランかどうか増田氏のスケジュール表を見直してみた 出来る・・・!
日曜日の夜 仕事を終え 新宿 20時発のあずさに乗る 23時松本の宿にチェックイン 翌朝早起きの為 早々に寝る
4時20分チェックアウト テルモス二本に熱いお湯を入れてくれるようフロントにお願いする 数年前までの常宿は駅近くの
ビジネスホテルであった 料金が格安なだけに早朝出発の客はチェックインの際会計を済ませ 帰りはフロントの
キーボックスにキーを返して勝手に出て行くという(深夜 早朝はフロントに誰もいない)徹底的に人件費削減システムを
とっていた もちろんお湯もセルフサービス 部屋の電気ポットで沸かしテルモスへ注いでいた テルモスを受け取り
フロントの女性の笑顔に見送られ玄関を出て待ってくれていた倉田さんのタクシーに乗る「随分早いねぇ
今日は何処まで行くんかい?」松本訛りがうれしい 5月の私達との山菜摂りのあと大量の独活を収穫したこと
秋は雨が少なくて松茸(マッタケと発音する)が全く駄目で小遣い稼ぎが出来なかったこと 白骨温泉への道路の改修工事が
まもなく終わること 今年の紅葉はあまり良くない何故なら夏の暑さが長引きすぎて葉っぱがやられちまったから
話題は尽きない ライトに照らされた上高地バスターミナルに着く 倉田さんから「松本名物山賊バーガーだよ 知ってる?
旨いよ買っておいたで上で食べな」 なんと温かい心遣い ありがたく頂戴する
登山者指導所で登山届けを提出し出発 こんな時間なのに結構な数の登山者がいる やはり良いシーズンなのだ
前に書いた日本三大急登に続き 涸沢は 日本三大紅葉の一つである が他の二つは知らない
辺りは未だ薄暗くヘッドランプを点ける 空気は冷たい 鼻のあたりりがツーンとする 歩き始めてまもなく白々と明けてきた空に
気付きライトを消す良い天気になりそうだ 明神岳が見えてきた まもなく明神だ トイレに立ち寄りすぐ歩き出す
しばらく行くと梓川の河原とケショウヤナギが見えてくる
<紅葉はまだ下りてこない>
真冬は真っ赤に染まるケショウヤナギだが まだ緑のまま 明神岳が大きくせまり前穂高岳が見えてくると私の大好きな徳沢だ
ゆっくりと時間を過ごしたい場所なのだが通過する 次の横尾までは休憩は無しと決めている
真っ青な秋空にそびえる屏風岩を見上げ 横尾に着く まずまず順調なタイムだ テルモスのお湯を飲み小休止する
この調子だと大丈夫かも知れない・・・まだまだはっきりとは言えないが・・・・涸沢までは体力を温存しなければ・・・
調子に乗るんじゃないぞ・・・悪い事ではないのだが かなりナーバスになっているようだ
今回は涸沢まででは無くその先の奥穂高山荘まで行こうと考えている 本来一泊二日では上高地から涸沢までというのが
一般的なのであるが その先三時間の登りを頑張れば穂高岳山荘まで かなりハードではあるが行けなくはない
数日前から入山している増田氏は この日涸沢から北穂高岳を登り稜線沿いに穂高岳山荘のテント場に泊る予定になっている
私が来ることなど夢にも思っていない増田氏のテントを突然訪れて 思いっきりビックリさせてやろう
香ちゃんの写真を見て山に行こうと決め 増田氏の登山スケジュールを見直した時に思いついた計画とはこの事だったのである
名付けて「奥穂高岳幕営地ドッキリ大作戦」 この作戦の遂行こそが今回の目的であったのだ しかし
かなり長いコースになる上 20kg近い荷物で 日没も早くなったこの時期 明るいうちにテント場に到着しなければならない
そのためのペース配分 休憩時間 体調管理等 今までに無く慎重に歩いて来た 横尾からが勝負だ
時間は9時 涸沢に13時30分までに着けなければ奥穂は断念 ドッキリは失敗である
待ってろ増田!!ビックリさせちゃうからね・・・
横尾のつり橋を渡るといよいよ本格登山道だ 屏風岩が迫ってくる この辺りから早朝 涸沢を発ったらしき登山者と
すれ違うようになった 展望が開け北穂高岳を望む いつ見てもワクワクさせられる 休憩場所と考えていた本谷橋は
大勢の登山者でごった返していた朝ごはんをクッカーで作る人 弁当を広げているグループ 記念写真を撮る人々
大げさでなく本当に座る場所も無い とっとと通過する
「山がごった返していてはいけないよなぁ 俺もその一人だけどね でもやっぱり人はいないほう方がいいよなぁ」
急な登りにかかりながら思う 涸沢カールが見えてきた ようやく休憩 今朝コンビニで買った助六寿司のいなりずしと
太巻きを1つづつ無理やり食べる 昨夜あずさの車中で駅弁を食べてから十五時間経つのに食欲が全くない
水分だけはしっかり摂らねばと お湯を飲む 涸沢まで順調に行けば あと四十分程 癖のようになっている足の痙攣も
今のところ起きる気配は無い 全ては涸沢に着いてからだ
<聳え立つ北穂 奥穂 前穂>
<言葉にならない>
11時40分 涸沢到着 予定よりかなり早い 普段なら紅葉の真っ只中にテントを張り心ゆくまでこの景色と空気を
楽しんで時間を過ごすのだが ここから三時間厳しい登りが待っている 涸沢ヒュッテで水を補給しすぐに出発する
かなり疲れてきている 腰を下ろしたら最後 先へ進めなくなりそうなので ザイテングラードの取り付きまで頑張れと
己を叱咤激励する
<テント場と涸沢小屋 泊まりたい誘惑を振り切って進む>
それにしても なんという美しさだろう 私には表現する言葉が見つからない
ようやく小休止 やはり食欲がない 胃袋はとうに空っぽのはずだが何も欲しくない テルモスのお湯を飲み出発する
あずき沢からザイテングラードに取り付く きつい登りが続く ジグザグの急登は嫌いではない むしろ好きである
呼吸に合わせ一歩一歩リズムを取りながら進む 足を持ち上げる時に大きく息を吸い込み その足を下ろすタイミングで
腹から思いっきり息を吐き出す 辛く苦しい登りの時 このリズムだけに神経を集中していると自分の呼吸の音しか聞こえなくなり
いつの間にか何も考えていない自分に気付く 私達は「頭が真っ白になる時」と呼ぶ瞬間だ 一般に云うランナーズハイと
同じ症状なのだろうが 普段は煩悩 邪念 のかたまりである自分の思考が無になるというのは 一瞬でも心が
浄化されたようで気持ちの良いものである 登り始めて三時間 ようやく山荘の石垣が見えてきた さあドッキリ大作戦開始だ
山荘のテント場はひな壇状になっていて全体が見えない 見渡したところ増田氏のテントは見えない もっと上部にあるのだろう
とにかく重いザックを下ろしテントを張って着替える事にする やはりこ季節3,000m近くは猛烈に寒い 汗が急速に冷えていく
さむ気が襲ってくる前に 乾いた温かいウェアに着替えなければ動けなくなってしまう 疲労困憊の中なんとかテントを設営し
着替えを済ませると現金なもので腹が減ってきた 上高地で倉田さんからいただいた山賊バーガーにかぶりつく 旨い!!
バンズにマリネした鶏肉を揚げたもの(竜田揚げのよう)をマヨネーズ マスタード レタスと共にサンドしてある
かなりのボリュウムのあるバーガーで腹が一杯になる このまま暖かいシュラフに入って眠りたい誘惑にかられるが
暗くなる前に増田氏のテントを探さねばならない その前に小屋でテント設営の受付と水を買う事にした
小屋の中は笑ってしまうほど暖かく気持ちが良い ようやく緊張が解けてきた テント場受付の女性に
「増田と云うものが今日テントの受付をしたと思うのですが・・・」と聞き 調べてもらうと「そう云う名前の方は
受付されていません」との答えエーーッ!!そんなぁーー!!なにぃそれーー!!いないのぉ 愕然とする
「一日早く通過してしまったのかなぁ・・」「明日の行程はもっときついのに一人で行くのかぁ・・・」「いやだな・・来た道
戻っちゃおうかなぁ・・・」「でも とりあえず探さないとなぁ・・・」ショックのあまり「ぁ・・・」状態 三個の水筒を持って
失意のうちに小屋の扉を開ける前 未練がましく小屋の中を見回した時 なんと 暖かそうなダウンの上下を着てストーブに
のうのうと暖まっている増田氏が見えるではないか!!「お前こんな所でなにしてんだよっ!!」 ドッキリ大作戦のため
増田氏を驚かす効果的な台詞をいろいろ考えながら 登ってきたのだが 増田氏に会えた嬉しさのあまり我を忘れて
叫んでしまっていた 当の増田氏はもっとビックリしたらしく「なんで なんで此処にいるの?」と裏返った声で絶叫状態
冷静さを取り戻した私は「おめぇを 追いかけてきたんだよ!!」ドッキリ大作戦 大成功の瞬間であった チャンチャン!!
聞けば三日連続テントに泊まるは辛いので 最終日くらいは小屋の布団で眠りたいと しごく最もな考えで小屋泊まりに
したそうで そうと知ったら 私も壊れて傾いたテントで(テントを張る時にポールが折れている事に気付きションボリ)寝るのは
やめて小屋に泊まる事にした 小屋は結構込んでいたので自分達へのご褒美として(なんの?)奮発して個室を取る
山小屋の個室と大部屋はまさに天国と地獄の差があり 布団からして違うのである 増田氏に協力してもらい
瞬く間にテントを撤収して部屋に入る 快適!!
<穂高岳山荘>
<大部屋 蚕棚 布団1枚分が自分のスペース>
<天国を満喫する増田氏>
しきりに「ビックリした ビックリした」を連発する増田氏 おまけに「嬉しいなぁ!!」とまで言ってくれる なんとかわいい奴よ
頑張った甲斐があったってもんである 夕食の時間になり食堂へ しかし山賊バーガーを食べてから僅かしか経っていないので
食欲もなく味噌汁を飲むだけにする(これがその後大変な事になる始まりだとは思いもしない・・・)部屋に戻り
翌日のスケジュールを打ち合わせる 予定通り奥穂高岳 前穂高岳 登頂後 紀美子平から重太郎新道で岳沢まで下り
上高地に下山することにする 明日は早起き ふかふかな布団にもぐりこんで「極楽ぅ!!」 瞬く間に眠りに落ちた
翌朝 夜明け前の薄暗い中を出発する 寒い・・・ヘッドランプの明かりを頼りに くさり場に取り付く しょっぱなから
緊張を強いられる 梯子を乗り越え ペンキの跡を探しながら慎重に岩場を登る 暗くてルートを探すのに苦労する
稜線に出た頃 朝焼けが始まった しばし写真で堪能あれ・・・
<西穂高岳への稜線をバックに・・・聳え立つジャンダルム>
朝焼けが散らばり雲海が白く見え始めた頃 奥穂岳山頂に着く 3,190m 叫けび出したくなる 素晴らしい眺望
嬉しさがこみ上げてくる 明神岳 霞沢岳 槍ヶ岳への山々 そして見るたびに 心ときめく西穂高への険しい稜線
馬の背・ナイフリッジ ジャンダルムを経て間の岳から西穂高岳 以前 増田氏と2人ずっと緊張しながら歩いたルートだ
あの時と同じ秋晴れの乾いた空気が達成感を思い出させてくれる 吊尾根から前穂岳へ向かう 急峻な岩場を慎重に下る
二時間程で紀美子平に着く ここにザックを置いて前穂高岳へは空身で行く 三十分程の厳しいの登りののち前穂高岳山頂
本日二つ目のピークだ 快晴 微風 太陽に温められた大気が気持ち良い しかしここまでの増田氏の快調なこと!
ずっとトップをとってくれているのだが 私はついて行くのが精一杯 これからまだまだ辛い下りが待っている・・・
<どんなにバテていても 山頂では笑える>
紀美子平に戻り 小休止 昨日の山賊バーガー以来お湯しか飲んでいない 何か食べようと思うのだが
持っている食べ物を見ても口に入れる気になれないのだ 食べなければ駄目だ!歩けなくなるぞ!とは解っているのだが
受け付けなくなっている それでもグレ-プグミを数粒噛み締めて テルモスのお湯で飲み込んだ
岳沢への下りは いきなり急下降のうえ スラブ状の岩のためスリップしやすい ここで転倒すると大変な事になるので
とにかく慎重に進む・・・が・・・紀美子平までで私の体力は尽きてしまったようで足に力がはいらない 全く踏ん張ることが
出来なくなってきた いつもなら何でも無い小さなスリップでも簡単に尻餅をついてしまう これから上高地まで
四時間以上の下りが続くと云うのに まったくもってトホホな状態である 先を行く増田氏との距離がひらいてしまった
時々立ち止まって待ってくれるのだが どうしてもペースがあげられない 完全なガス欠である ガス欠とは長時間食べない事に
より糖質不足になり血糖値の低下を招き疲労する事である と何かで読んだ事がある 要するに腹がへって バテる事だ
昨日と今朝の厳しい登りで完璧に身体が疲労してしまい食欲を無くしてしまった かといって全く食物を受け付けない今は
なんとしても下るしか無い 「ごめんね増田君・・・勝手に追いかけてきて足を引っ張ってしまって・・私がいなければ
とっとと下って沢渡でお風呂に入り 松本駅のスターバックスでキャラメルマキアージュのTallを飲んでいられるのに・・・」と
心のなかで詫びていた
<うんざりするほど急で長い下り>
<声も出ない・・・>
<紅葉のピークを迎えた岳沢ヒュッテ周辺>
ようやく岳沢ヒュッテに到着 岳樺の黄葉が美しい 先着の増田氏のカレーを分けてもらい
何とか三口だけ飲み込み 糖質補充にオレンジジュースを売店で買って飲む 上高地まで地図上のタイムは二時間だが
プラス一時間みて上高地のタクシー乗り場で待つ倉田さんに予約電話をいれる
岳沢からの下りは少し傾斜が緩やかだ それでも体力の限界の二乗を越えているかのよう 立ち止まってはならない
とにかく一歩一歩前に進まなければこの辛さから解放されない 苦しさで呼吸が浅くなる 意識して大きく深呼吸する
ひんやりとした清々しい空気が肺一杯に満ちる なんと旨いのだろう 一瞬苦しさを忘れる この感覚があるならまだまだ歩ける
歩けば着ける 一歩ごとに数を数える 「いち・に・さん・・・」いくつまで数えたかわからなくなると また「いち・に・さん・・・」
何度も繰り返す 気がつくと道が平坦になっている 増田氏の姿はもう見えない 足に力が入るようになった気がする
岳沢ロッジで食べたカレーとオレンジジュースのおかげだろうか 少しでも増田氏との距離を詰めなければと走るように急ぐ
前方に指導標とザックが見える 増田氏のだ ようやく着いた 待っていてくれた増田氏と堅い握手 感謝!・・・
ほっとするのもつかの間 先を急がなければならない 倉田さんとの約束の時間をとうに過ぎている 散策している大勢の
観光客を追い抜きながら行く 河童橋を過ぎ広い道に出る 制服の倉田さんの姿が目に入ってきた 昨日別れたばかりなのに
妙に懐かしく思える 長い長い二日間だった ザックをトランクに入れ 汗を流しに沢渡の風呂へと向かう
<ようやく ようやく下山>
11月
<滑走路のような広々とした駐車場 彼方に堂々たる南アルプス>
10月の登山のダメージがひどく 家の中の事は全てパートナーに頼りっぱなしの毎日 曰く「使い物にならない状態」が
二週間ほど続いた 恒例のFavoriteのアニバーサリーパーティーも無事済ませ ようやく元気が出てきた頃 紅葉の西岳登山を
思い立ち 林さんに声をかけた 西岳は八ヶ岳の一つで標高は2,398m 増田氏や私のパートナーも推薦の山で
今年最後の2,000m峰としては申し分ない 当日のメンバーは林さん 森田さん 私の三人 早朝 富士見高原スキー場の
駐車場に車を置き出発する 森田さんとは高尾山以来の山 1月の「冬の高尾山」では素敵な写真を使わせていただいている
今回の写真も森田さんの撮影である
予想に反して紅葉はすでに終わっていて(中央道の高尾山辺りがピークだった)冬枯れの林といった風情の明るい樹林帯を行く
乾いた草の匂いのする風 暖かく柔らかな日差し なんだか判らない鳥のさえずりが なんとも心地よい
林さんを先頭に ゆっくり のんびり進む いいなぁ こういう山は・・・しみじみ思う
三時間程で山頂に到着 数人の先客が記念写真を撮っている 周辺には今朝方降ったらしい雪が残っている
我々も記念撮影だ その後乾いた場所を見つけて昼食 相変わらず おにぎりと豚汁だが 今回は大鹿村の柿のデザート付き
風は冷たいが申し分のない天気に三人とも嬉しい顔だ 10月はそれぞれ皆 山に登っていて森田さんは私が穂高に入っていた
同じ時期に奥様の深雪さんと燕(つばくろ)岳 常念岳 蝶ヶ岳 上高地を素晴らしい紅葉の中を縦走していたそうだ
林さんは もうすでに冬の様相の富士山に登ったばかり アイスバーンと烈風の中での武勇伝を聞きながら
食後のコーヒーを飲んだ
<権現岳 ギボシの岩峰とカメラマン>
たっぷり休憩をとって往路を戻る 満ち足りた気分 良い山で締めくくれたなぁとしみじみ思う 今年は森田夫妻と山の仲間になり
林さん佳代さんとも いろいろな山に登れて本当に充実していたな 感謝感謝 夕暮れの駐車場に戻った
12月
10数年前から大晦日は箱根の湯坂道を歩き浅間山に登ってから 塔ノ沢の宿 福住楼で年を越しをしている
小湧谷の千条(ちすじ)の滝から三十分程で浅間山の小広い山頂に出る 晴れた昼下がり 数人の登山者がのんびりしている
私とパートナーも弁当を広げる 梅干 たらこのおにぎりとテルモスにいれた大根の味噌汁が旨い
食後は やはり昼寝 この山頂での昼寝は私の「日本気持ちの良い昼寝処ベスト5」に入る気持ちの良い所だ
ちなみにナンバーワンに輝くのは 大鹿村の旅舎 右馬允の縁側である 此処の縁側は昼寝処だけではなく
「世の中で最も好きな場所ベスト3」「人生の最後を迎えたい処ベスト」部門でも第一位を献上したいと思っている
太陽が雲に遮られて肌寒くなり撤収する いつもは尾根を大平台方面に進み塔ノ沢入近くに下りるのだが この先はどうやら
霜柱が踏まれて解けて ひどいぬかるみになっているようなので往路を戻ることにした お世話になる宿福住楼の
玄関を泥だらけにしてはいけません・・・小涌谷から福住楼までは箱根駅伝のハイライト5区である 登ってくる柏原君や
猛スピードで駆け下りていた市川君 沿道の大歓声等 あの東洋大学完全優勝のレースに思いを馳せながら歩いていた
駅伝選手なら二十分かからずに走り抜けてしまう距離を二時間かけて歩いている私達・・・国道がみえてきた福住楼はすぐそこだ
<輝け!!日本昼寝処大賞 山頂部門最優秀賞>
2015年2月
昨年の秋も終わり頃 登った山をブログにまとめようと思い立ち書き始めた 12月30日の営業終了までには
アップするつもりだったがなんと今になってしまった ご承知のように何でも先延ばしにしてしまう 怠け者の性格は
いくつになっても直らない 毎月のように山に行き とても充実した年だったと思う
弁当を食べに行っただけのような山でもパートナーと語り合いながら歩く時間はとても良いものであったし 新人を連れての
低山も 自分自身の山の楽しみの原点を思い出させてくれて新鮮であった
いつもの仲間との つらく厳しいなかでも陽気に過ごした山行は次の高みを目指す経験となり 山の麓で暖かく迎えてくださった
人々の優しさは私達の心を潤し そして今もそこに在る偉大なる自然は私達を受け入れ成長させてくれる
「山登りをしています」と言うと まず「何故山に登るのですか?」と質問される 私はこう答える
「一度登ってごらんなさい」と・・・・
<僕らは なんと楽しい事をしているのだろう!!>